アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ

アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリング、コンサルティングを行っています。

過去の巻頭言から(2):『ニーズ』と『サプライ』を巡って(2011年5月号)

おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(11月7日)は、鳥取市内の公的機関の研修を終え、ANA機に乗り東京に戻り、21:30頃帰宅しました。

これで47都道府県のうち46都道府県での研修を担当したことになり、残るは島根県だけになりました。

出張中でも研修依頼が続々入り、私の手帳のスケジュールがどんどん埋まって行きます。

研修が少ない月であるはずの2月でも、28日中の24日も研修を行うことになっています。


さて、過去にメルマガに書いた巻頭言をブログに転載する2回目です。
カウンセラーのトレーニングでよく言っている「ニーズなきところにサプライなし」の応用編の話です。

過去の巻頭言から(2):『ニーズ』と『サプライ』を巡って(2011年5月号)

私がブログ(「勇気の伝道師」)で2011年3月23日に書いた「ニーズ」と「サプライ」の話(「ニーズなきところにサプライなし」)と少々ダブりながら、さらに発展させた話を書くつもりです。

ブログでは、「ニーズなきところにサプライなし」がカウンセリングの大事な心構えであることをもとに、日常生活でニーズ(相手が求めていること、「必要性」)がないのにサプライ(「供給」)する人が多いことを残念に思う私は、クライエントのニーズがないのに、あるいは求めていない領域にサプライするカウンセラーが多いことを警告しました。

さらにブログでは、少しのニーズに対して少しのサプライをするのならバランスが取れますが、ニーズが少ないのに多くのサプライをすることを「過剰供給」、別の言い方をすると「おせっかい」と言い、ましてや、ニーズがないのにサプライしようとしたら、これは「おしつけ」あるいは「ムダ」です、と書きました。

「ニーズなきところにサプライなし」は、私たちの学びの中での別の考えにも関連しています。
SMILEの「誰の課題か?」です。
相手の課題なのに、こちらが口を挟むと、これは干渉になりますね。ここまでを入門編としておきましょう。

ここで、視点を変えてみましょう。

 経済学では「ニーズ」の代わりに「需要(ディマンド)」を言い、需要と供給の関連で商品の価格の上昇・下降を説明しています。次のようです。

 需要 < 供給 → 価格は下がる
 需要 > 供給 → 価格は上がる

ところで、企業の活動などでは、「需要喚起」という言葉が使われます。
広告宣伝や人的な提案活動を行うことによって、相手側にそもそもなかった需要を開発したり、一定量の需要をさらに増加したりする営みがあります。

ここからがその発想を借りてのニーズとサプライの応用編です。

ニーズは2つに分けて考えられます。
「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」です。

「顕在ニーズ」というのは、相手も自覚している、はっきりとしたニーズです。
「潜在ニーズ」というのは、相手が自覚していないが、こちら側の問いかけによって相手が気づくニーズです。

例え話をすると、氷山の一角の部分が顕在ニーズ、水面下にある部分が潜在ニーズです。

そもそも本人は、自分の顕在ニーズだけをニーズのすべてだと思い込んでいるのです。

潜在ニーズを顕在化させる問いかけには次のような質問があります。

「あなたが実現したいことで、もう少し何とかしたという部分はありませんか?」
「あなたに制約がなければ、どんなことを望んでいますか? そのために必要なことは何ですか?」
「あなたが見えていないことで、他の誰かならば見えていそうなものは何ですか?」
「今はないけれど、それがあると便利だと思うものは何ですか?」

今回は、「ニーズなきところにサプライなし」とは言うものの、ニーズを開発する方法がある、というコーチングみたいな話でした。

<お目休めコーナー>11月の花(8)

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