アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ

アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリング、コンサルティングを行っています。

王選手に対する荒川コーチの勇気づけ(2):ピグマリオン効果

おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

前回のブログで「王選手に対する荒川コーチの勇気づけは、多分にピグマリオン効果が含まれている」と書きました。

ところで、「ピグマリオン効果」というのは、どういうものでしょうか?
このことについて簡潔に書かれた本としてR.H.ウォーターマン『超優良企業は、革新する』講談社)があります。
この本からエッセンス部分を抜き書きしました(表現を少し変えています)。

 ピグマリオン」というのは、もともとはギリシア神話に出てくるキプロスの王様の名前で、彼は彫刻を趣味としてきて、ある時自分で彫った象牙の女性の像に恋をしてしまいました。
彼にとってはその彫像こそ自分の理想の女性の姿そのもののように見えました。
彼はその像に生命を与えるよう、神に祈り続け、ついにその祈りがビーナスの心を動かし、像は生きた女性の姿となって彼の前に現われたという物語があります。

この話をもとにジョージ・バーナード・ショウは、『ピグマリオン』という脚本を書きました。
ヘンリー・ヒギンズ教授がコクニーの花売り娘、イライザ・ドゥーリトルにキングス・イングリッシュを教え、淑女に仕立て上げるというストーリーは、オードリー・ヘップバーン主演のミュージカル『マイ・フェア・レディ』で一躍有名になりました。

1960年代にロバート・ローゼンタールとレア・ジャコブソンが『教室のピグマリオン』という本を世に出して教育の現場に影響を与えました。

その本の中で二人は、生徒の成績は実際の能力よりも先生の期待度によって左右されるという研究成果を発表したのです。

彼らは次のような実験をしたのです。近所の小学校の低学年の生徒を対象にニセの知能テストを行い、無作為に20%の生徒を抽出し、゛頭の良い生徒″というレッテルを貼りました。
学校の先生達はそのレッテルを信じ、実際の能力とはまったく無関係であるにも関わらず、その生徒達の才能に期待を寄せるようになり、それから8ヵ月後、学年末に行われたホンモノの知能テストで、その生徒達は他の生徒よりも明らかに高いIQを示しました。

その根拠についてローゼンタールはこう述べています。
「先生は、自分の期待する生徒に対しては、より多くの反応を求めるものなのだ。他の生徒よりも当てる回数が多くなるし、難しい質問を選ぶようになる。答えるまでに時間をかけ、正しい答えが出ない場合は横から助け船を出したりするのだ」

ピグマリオンの神話はさまざまな形に変型して語られています。
その根底にはいずれも人の行為は相手の期待度を反映するというテーマが流れ、教育現場でも仕事でも、誰に何をどう期待するかによって結果に大きな違いが生まれてくるようです。


いかがですか、ピグマリオン効果

<お目休めコーナー> 1月の花(13)

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